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大阪国際フェスティバル公式ブログ

鑑賞のための予備知識④~作品構成

曲名:ミサ Mass
作曲:レナード・バーンスタイン – Leonard Bernstein
作詞:スティーヴン・シュウォーツ – Stephen Schwartz
レナード・バーンスタイン – Leonard Bernstein
ミサ典礼文 – Mass Text

第1曲:ミサの前の祈祷

1.アンティフォナ(交誦):キリエ・エレイソン

録音された独唱者たちの声と打楽器の音が会場の4隅から聞こえます(4チャンネル・テープに録音と指定)。録音によって空間性を行かす試み。ほとんど無調性で「主よ、あわれみたまえ」、「キリストよ、あわれみたまえ」と歌われます。

2.讃歌と詩篇「シンプル・ソング」

ギターとともに司祭が「シンプル・ソング」を歌い始めます。タイトル通りの素朴で魅力的な歌。「神に素朴な歌をうたえ」、「神はすべて素朴なものを愛する」、「私は主に新しい歌をうたう」などと歌われます。「ラウダ、ラウデ」のことばが続きます。

3.レスポンソリウム(応答誦)「アレルヤ」

6人の独唱者による軽快なスキャット(録音されたもの)。

第2曲:第一入祭文

1.序の祈り

マーチング・バンドとともに街角のコーラスが入場します。全員で「アレルヤ」を歌ったあと、少年合唱が「キリストよ、あわれみたまえ」と始め、ボーイ・ソプラノも登場します。賑やかでユーモラスなところもある音楽が続きます。

2.三重の三声カノン

少年合唱も加わった無伴奏の合唱がカノンで「神、汝らとともにあれ」と歌います。

第3曲:第二入祭文

1.父の名において

司祭が「父の名において」と述べると、男声合唱と少年合唱がリズミックにラテン語で「父の名において」と歌う録音が流れます。司祭が「立ち上がって、祈ろう」といいます。

2.集会のための祈り「全能の父よ」

英語の歌詞によるアカペラ・コーラス。

3.救世主の顕現

4チャンネル・テープに録音されたオーボエの独奏。

第4曲:告解

まず司祭が英語で語ります。

1.告白の祈り

合唱がラテン語でシリアスに歌い始めます。その後、指を鳴らし、エレキ・ベースやエレキ・ギターが聞えてきます。

2.トロープス(進句)「わからない」

以下、ロック&ブルース歌手たちによって告白への懐疑が歌われます。
ロック歌手がバンドとともに「オレは本当のものを知らない」と歌います。

3.トロープス(進句)「気楽に」

3人のロック歌手と3人のブルース歌手(一人は女性)が「気楽に」と歌うが、彼らは、何もわからない。遂に「主よ、あんたがそんなに偉大なら、教えてくれ」といいます。
それに対して、司祭は「祈ろう」と続けます。

第5曲:瞑想 第1番

弦楽器を中心としたオーケストラによる間奏曲。オルガンのソロも現れます。クラシカルで美しい音楽。内省のとき。

第6曲:グローリア 栄光あれ

1.グローリア・ティビ(神に栄光あれ)

司祭と少年合唱が「神に栄光あれ」と歌います。リズミックな5拍子の曲。

2.グローリア・イン・エクセルシス(いと高きところに栄光あれ)

混声合唱とオーケストラによるシンコペーションのきいた曲。

3.トロープス(進句)「人々のなかばは」

前曲を街頭の合唱とバンドが引き継ぎます。「人々の半分は酔いつぶれ、あとの半分は次の選挙を待っている。人々の半分は溺れ、あとの半分は見当違いの方向に進んでいく」のフレーズはポール・サイモンの言葉によります。

4.トロープス(進句)「サンキュー」

ソプラノ独唱が、かつては神に感謝していたが、いつからか「ありがとう」が過去のものとなった、と歌います。

第7番:瞑想 第2番

打楽器と弦楽器とオルガンを中心とする深刻な音楽。ベートーヴェンの「第九」の引用もあります。チェロのソロが入ります。

第8番:使徒書簡「主の御言葉」

司祭がエレキ・ベースをバックに歌い始めます。後にトランペットも入ります。「人を閉じ込めることはできても、神の言葉を閉じ込めることはできない」。そして、老人や若い女が現代の手紙を読みます。司祭が「神の言葉は廃れない」と歌います。

第9曲:福音書 説教「神は云われた」

説教師と合唱が応答する軽快でノリのよい音楽。内容は、神による天地創造。風刺を交えて、ベトナム戦争や同性愛など当時の時事的な問題も取り上げられます。この曲は、英語の原詩では全編にわたって韻を踏み、バーンスタインらしい言葉遊びが行われます。

第10曲:クレド、信仰告白

1.クレド・イン・ウヌム・デウム(唯一なる神を信ず)

混声合唱と打楽器(録音)がラテン語のテキストで「唯一の神を信じる」と誦します。

2.トロープス(進句):「われは信ぜず」

「クレド(われは信ず)」に対する「ノン・クレド(われは信ぜず)。独唱とバンドが、ロック系の音楽で神=キリストに対する懐疑を述べます。最後に録音(ラテン語の聖典)が現れます。

3.トロープス(進句):「急いで」

メゾ・ソプラノが世の中の酷い現状に、神が早く再来することを訴えます。ブルースのような艶っぽさ。またラテン語のテープ。

4.トロープス(進句):「終わりなき世」

もう一人のメゾ・ソプラノが、ミュージカル的な歌唱で、人間は滅びても地球は回り続けると歌います。終わりのない世界。核戦争後の地球を示唆しているのでしょうか。テープと3人が重なります。

5.トロープス(進句):「われ神を信ず」

ロック歌手は「オレは神様を信じるけど、神様はオレを信じてくれるだろうか?」と歌い、信じること自体を疑うが、彼は「歌」は信じています。街頭の合唱も加わります。そして、司祭が「祈りましょう」といいます。

第11曲:瞑想 第3番(深き淵より 第1部)

合唱、金管楽器・打楽器による力強く荘厳な音楽。詩篇130篇の前半を歌います。「主よ、深い淵から私はあなたを呼び求めます」

第12曲:オッフェルトリウム(奉献誦)(深き淵より 第2部)

司祭が捧げものについて語り、少年合唱と聖歌隊の交唱に手拍子が入り、踊り出します。「わが魂、主を待ち望む」と詩篇130篇の後半を歌います。

第13曲:主の祈り

1.われわれの父

司祭が「天にまします我らの父よ、」と「主の祈り(主祷文)」を捧げます。

2.トロープス(進句):「われ往かん」

司祭が、クラリネットとギターをバックにゆったりと静かに、「黄金時代は死んでも私は進んでいく」と歌います。そして、「ラウダ、ラウデ」。

第14曲:サンクトゥス(聖なるかな)

司祭が鈴を鳴らし、少年合唱が「聖なるかな、オザンナ」と歌います。司祭が「ミとソ」は「私(ミー)と魂(ソウル)」、「歌の始まり」といいます。合唱が「カドシ、カドシ、カドシ」とヘブライ語のことばを歌います。司祭が奉献を始めます。

第15曲:アニュス・デイ(神の仔羊)

バンドも入り、テンポ・アップして「アニュス・デイ(神の仔羊)」と歌われます。「我らに平和を与え給え」とも。音楽は静かになり、司祭がステージを上がっていきます。そして聖杯を掲げます。合唱がブルース風に「我らに平和を与え給え」といいます。民衆たちは狂乱し、「オレたちは祈ったりしない、今すぐに守る価値のある平和をくれ」、「オレたちはあんたの沈黙にはうんざりしている。だからオレたちは暴力に訴えても行動を起こす」と叫びます。即興演奏も加わります。

第16曲:聖体分割式「万事壊れる」

司祭は「平和を」と叫び、聖杯を床に投げつけます。聖体拝領は破壊され、ミサは崩壊します。民衆を導こうとした司祭の挫折。司祭は「ワインは赤くない。茶色だ。血のような茶色」といいます。そして、音楽がテンポを上げ、司祭は祭壇から降ります。司祭は残された人々に新たな信仰を促します。最後は挽歌のような歌。フルートが静かに絡みます。「物事なんて簡単に壊れてしまうのだ」と言って、司祭、立ち去ります。

第17曲:平和:聖餐式「シークレット・ソング」

フルートのさえずりのようなソロで始まります。ボーイ・ソプラノが「神に秘密の歌をうたおう、ラウダ、ラウデ」と歌い始めます。「ラウダ、ラウデ」の歌声が広がっていきます。夜明けを思わせる音楽。信仰の回復。司祭が再び姿を現し、ボーイ・ソプラノの「ラウダ、ラウデ」に加わります。そして静かに「全能の父よ」と合唱。全員に平和の輪が広がります。

(山田治生)

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