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井上道義インタビュー「『ミサ』はほとんどミュージカル」/山田治生

レナード・バーンスタインの「ミサ」(1971)の日本での本格的上演は23年振りとなる。井上道義は、その23年前のオーチャードホールでの上演(演奏は京都市交響楽団)に引き続き、今回も指揮・演出を担う。
「バーンスタインの『ミサ』はシアターピースというほとんどミュージカルのような作品です。バーンスタイン自身はミュージカルと呼ばれるのを嫌ったでしょうが。いわゆる“宗教音楽”ではありません。僕は、シアターピースに対してものすごく心を惹かれる人間です。僕は音楽家ですが、音楽だけで生きているわけではありません。僕は日本で良い劇場作品を作りたいとずっと思ってきました。バーンスタインの『ミサ』を演奏会形式ではやりたくなかった。この曲は音楽と演技とが密接に結びついているので、他の演出家に頼むよりは、僕が自分で演出した方が作品の内容に肉薄できると思いました。

今回は、23年前と違って、まったく新しい演出でやります。主役の司祭をバーンスタインにします。彼は作曲家であり、ピアニストであり、指揮者でありました。指揮者はほとんど司祭のような役目です。権威がなければ何もできない。バーンスタインは本当は作曲がやりたかった。なりたかった自分との現実とのギャップ。それを私小説風に描きます。僕は、違和感を感じながら生きてきたし、その違和感を活動のエネルギーの素にしてきました。バーンスタインもそうだったと思います。僕はこの作品に共感します

ベトナム戦争の時代に書かれました。当時のアメリカ政府に反対し、キリスト教に疑いを持つことがこの作品の中心ですね。平和がほしければ、もう祈ってはいられない、実行するのみ、ロックやブルースの歌手たちが歌う。一方、合唱団は正攻法のミサの音楽。彼らは祈りの大事さやキリスト教の良いところを歌います」

井上は、司祭=バーンスタイン役に大山大輔を指名した。
「主役の大山君は、相談相手として心強い。(一昨年の井上が指揮した)『フィガロの結婚』のときも彼は演出の野田秀樹さんにたくさん助言していた。彼は歌うだけの人ではありません」

井上道義(右)、大山大輔(左)

写真左:大山大輔/同右:井上道義

その他、小川里美、小林沙羅、鷲尾麻衣、森山京子、藤木大地、古橋郷平、又吉秀樹、村上公太、加耒徹、久保和範、与那城敬、ジョン・ハオら、フレッシュな実力派歌手たちが揃う。
「このパートはこの人に歌ってほしいという歌手を選びました」
重要なボーイ・ソプラノには三田少年少女合唱団の込山直樹(12歳)が選ばれた。
「大人がいろんなものを背負って自滅したあと、ボーイ・ソプラノが現れて美しい希望の歌を歌います。これは良いボーイ・ソプラノでないとダメなのです。ボーイ・ソプラノは寿命が短い。でも大阪で込山君と巡り合えた。神様はいるなと思ったよ、本当に」

井上はフェスティバルホールでバーンスタインの「ミサ」が上演できることを喜んでいる。
「フェスティバルホールは、花道もあって、この作品にぴったりなのです。バーンスタインの『ミサ』を大阪フィルとともに大阪で上演できるのがとてもうれしい」


★7/14(金)・15(土) バーンスタイン「ミサ」の公演情報はこちら

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