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4月7日 マリナー&アカデミー室内管弦楽団
――マリナーさんとフェスティバルホール その2~スタッフが語る1988年公演の思い出――

(前回に続く)

1988年 第30回大阪国際フェスティバル

マリナーさん記者会見の記事(1988年4月11日付 朝日新聞夕刊より)

マリナーさん記者会見の記事
(1988年4月11日付 朝日新聞夕刊より)

マリナーさん3回目のフェスティバルホール登場は、1988年4月11日と13日、第30回大阪国際フェスティバル公演でした。楽団の規模も大きくなり、長年の功績により指揮者マリナーさんには“サー”の称号もつきました。

第1夜はロッシーニ「アルジェのイタリア女」序曲、ハイドン「交響曲第96番《奇蹟》」、ベートーヴェン「交響曲第3番《英雄》」。第2夜は「モーツァルトの夕べ」と称して、後期の「交響曲第39番」、「第40番」、「第41番《ジュピター》」の3曲を演奏。今回は古典派の交響曲を中心としたプログラムでした。

1985年日本公開のアカデミー賞受賞映画「アマデウス」でサウンドトラックを担当したマリナー&アカデミー室内管弦楽団。世界的ヒットとなった映画の影響もあり、来日公演でもモーツァルトの音楽が多くの人々の心をつかみました。

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ところで、来る4月7日の「マリナー&アカデミー室内管」公演でマリナーさんとの再会を楽しみしているのは、1988年日本公演を招聘した大阪国際フェスティバル協会の職員だった、林敬三さん(現・朝日ビルディング・フェスティバルプラザ副支配人)です。来日から帰国までツアーに同行し全国各地を一緒に回った林さんに当時の思い出をお聞きしました。

1988年大阪国際フェスティバル、マリナー&アカデミー室内管の舞台

1988年大阪国際フェスティバル、マリナー&アカデミー室内管の舞台




Q: 28年前の来日公演で林さんは何を担当されたのですか?
A: 前年10月に私が担当することが決まり、それから半年、頭の中はマリナーさんとアカデミー室内管の事で一杯でした。当時の大阪国際フェスティバル協会は小所帯でしたので、招聘の事務作業からチラシなど印刷物の作成、プログラムの編集や英訳の手配…と公演制作に必要な事は何でもやりました。成田空港に到着した一行を出迎え、日本ツアーの全行程に随行しました。

Q: マリナーさんの印象は?
A: 非常に優しい方でした。回りへの気配り、気品のようなものを感じました。まさにイギリスのジェントルマンでした。美しい奥様も一緒に来日され、とても仲の良いご夫妻でした。

Q: ツアーで特に思い出す事は?
A: 東京、長野、名古屋、大阪、福岡の各地を回って約2週間ご一緒しました。マリナーさんと楽団一行で約60人。移動は全て電車でした。東京から長野への移動の途中、釜めしの駅弁を食べた事を覚えています。

Q: フェスティバルホールでの公演で思い出されることは?
A: マリナーさん自身は過去2回、フェスティバルホールで演奏された経験がありましたが、1988年が初めての楽団員もいました。2700席のフェスティバルホールに、「こんな大きな会場で演奏するのか?」と驚いていました。
一番印象的だったのは、オーケストラの女性団員たちが鮮やかな色とりどりのドレスを身にまとい、ステージが非常に華やかだった事です。全員が黒の衣装という他の多くの楽団と全く違いました。あの光景は今も目に焼きついています。
それと、コンサートマスターのクリストファー・ウォレン=グリーンさんが舞台のそでで、ご自身のグァルネリ(ヴァイオリンの名器)を触らせてくださり、それがとても軽かった事です。

Q: 大阪では何かサプライズ・イベントもあったとか?
A: はい。大阪公演の翌々日がマエストロ64歳の誕生日でした。そこで4月13日の公演終了後に歓迎パーティーを行い、その際、マエストロに内緒でケーキカットのイベントを仕込んだのです。そして、ケーキカットの後、オーケストラのメンバー全員が、ビートルズの「When I’m Sixty four(僕が64歳になったら)」を大合唱しました。思わぬプレゼントにマエストロはそれはそれは大喜びでした。

Q: 聞くところによると、林さんのお嬢さんは「茉里奈(まりな)」さんとおっしゃるのですね。
A: はい。私事ですが、1988年3月に長女が誕生しました。出産予定日がちょうどマリナーさんの来日1か月前だったこともあり、日本ツアーを担当することが決まって直ぐに、マエストロの名前に因んで娘の名前を付けたのです。ツアー中にマエストロにその事を話したら、とても喜んで、「いつでも会いに来なさい」と言ってくださいました。娘の幸せを願って色紙にメッセージも書いてくださいました。今も我が家の宝物です。

マリナーさんが林さんへ贈った色紙

マリナーさんが林さんへ贈った色紙



マエストロの温かい人柄が伝わるエピソードですね。

マリナー&アカデミー室内管弦楽団は、初期はバッハ、ヴィヴァルディ、ヘンデルなどバロック音楽から始まりましたが、その後、ハイドンの交響曲やモーツァルト交響曲全集、ベートーヴェンといった古典派に広げ、さらに、シューベルト、ロッシーニ、ドヴォルザーク、スッペ、ビゼー、ホルスト、ブリテン、レスピーギ、エルガー、ヴォーン=ウィリアムズ、そしてストラヴィンスキー、プロコフィエフ・・・と次々に新しい作品を取り上げ、そのレパートリーの広さには驚かされます。ヴァイオリニスト、指揮者として半世紀に渡るマリナーさんの経歴が物語るのは、音楽に対する新しい飽くことの無い開拓精神ではないでしょうか。それは91歳の今も現役として活躍するマエストロの若さの源でもあるのでしょう。

4月7日「マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団」の公演情報はこちらへ。

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